P2,3 平成26年(2014年)7月1日 コンテストに入賞した料理を仲良く作る宮𥔎さん親子 三武さん(中央)に、さやのむき方を教わる子供たち 塩ゆでされた新鮮なソラマメ 収穫作業をする三武さん 自分でむいたソラマメを喜んで食べる子供たち 愛歩さん考案のオリジナル料理 直売所で新鮮な野菜を並べる井上さん 早朝から弁当作りに励む女性たち 弘法の里湯で地産地消弁当を販売する大木さん(左) 秦野の魅力が詰まったタケノコ弁当 地産地消弁当で使う旬の野菜を収穫 アイデア料理で地産地消  落花生やソバ、イチゴ、八重桜など、秦野には多くの特産物があります。それらを使ったオリジナルレシピを募集する「アイデア料理コンテスト」。子供たちの地産地消への関心を高めようと、5年前から毎年開催しています。昨年は、過去最高となる391点の応募があり、そのうち上位11点が入賞しました。 「トマトの厚さは、これくらいかな。落花生は、もっと細かく砕いたほうが食べやすそうだね」  母親と楽しそうに料理を作るのは、入賞者の一人、宮﨑愛歩さん(13歳・曽屋)。「トマトのツナ味噌炊き込みご飯」と「落花生風味キュウリの冷汁」を考案しました。  愛歩さんがコンテストに応募したきっかけは、中学校の家庭科の授業で、夏休みの宿題として出されたことでした。それほど乗り気ではありませんでしたが、せっかく作るのだからと、本やインターネットを参考にレシピを作成。しかし、実際に作ってみると、思ったようにうまくはいきませんでした。特に苦労したのが、炊き込みご飯。 「トマトは水分が多いので、普通の炊き込みご飯と同じように作ると、べちょべちょになってしまいます。水の量の加減が難しかったです」  試行錯誤の末、ついに完成したレシピ。審査の結果、特産物の普及に適しているとされる「丹沢はだの名水育ち賞」に選ばれました。 「入賞したと聞いて、本人以上に家族が驚きました。料理への興味も沸いてくれたみたいです」  母親の敬依さん(45歳)は、目を細めます。また、料理だけでなく地産地消に対する意識も芽生えたといいます。 「野菜や果物を買うとき、原産地を気にするようになりました。買った食材が秦野産だと、それだけで何だかうれしくなりますね」  少し照れたように笑顔で話す愛歩さん。今年は、宿題としてではなく、自ら進んでコンテストに応募したいといいます。 「苦手な野菜でもおいしく食べられるお菓子を考えているんです。今年も入賞できるように、いろいろと工夫したいです」  子供ならではのユニークな発想の料理が集まる「アイデア料理コンテスト」。この中から、新しい郷土料理が生まれるかもしれません。 旬の野菜を学校給食に  「この白いのは何だろう。豆がふかふかのベッドで寝ているみたいだね」「匂いはキュウリに似ているよ」採れたてのソラマメに興味津々な子供たち。  西小学校では、地元農家の協力を得て、子供たちが地場産の旬の野菜に触れ、それを給食で食べるという体験授業を行っています。先月上旬、4年生121人が、全校児童分の給食用に、約40㌔のソラマメのさやをむきました。 「さやの端に親指の爪を立てて、ゆっくりと広げてごらん。両手でねじるようにしてもむけるよ」  子供たちを指導しているのは、丹沢秦野観光農業研究会の三武利夫さん(64歳・堀西)。西・北地区の農家16人からなる研究会では、西・堀川・北小学校の給食に、1年を通じて採れたての野菜を提供しているほか、こうした体験授業にも積極的に協力しています。 「新鮮な野菜を子供たちに食べさせたいのはもちろんだけど、触ったり、匂いを嗅いだり、五感を使って味わうことで、農業そのものにも興味を持ってもらえればうれしいね」  後継者育成のきっかけにもなればと期待を寄せる三武さん。地産地消を広げていくためには、「消費」だけではなく、「生産」への関心も高めていくことが大切です。  「みなさん、いただきます」  塩ゆでのソラマメをおいしそうに食べる子供たち。自分で下ごしらえをした味は、格別のようです。  地元農家などの協力により、市内の小学校給食に使われている秦野の農産物。新鮮な野菜や果物などが、子供たちの健康を支えながら、郷土愛を育んでいます。 直売で「安心」をお届け  「今日はキュウリがいっぱい採れたよ」「タケノコの出来もよさそうだね」朝から威勢の良い声が響く田原ふるさと公園内の直売所。地元の農家約80人からなる東地区農産物直売研究会が、採れたての野菜や果物などを販売しています。 「旬のものを、安心して食べてもらいたいからね。買った人から『おいしかった』と言ってもらえるのがやりがいだね」 と話すのは、研究会の会長を務める井上仲二さん(69歳・落合)。新鮮なものだけを販売するため、会員の農家は、毎朝9時までに農産物を運び入れ、午後4時の閉店後には、全て回収します。  週に3回も足を運ぶという60代の女性は、 「地元の農家の方が作っているので、どれも安心して買うことができます。新鮮でおいしいだけでなく、安くて助かっています」 とその魅力を話します。価格が低く抑えられるのも、直売ならではのメリット。市内には、田原ふるさと公園のほかにも、魅力的な直売所や朝市が多くあります。  作り手の顔が見えるからこそ、安心して買うことができる直売。生産者と消費者の距離を縮めることで、お互いの理解や信頼を深めています。 農家が作る「地産地消弁当」  「うちほぉのうめぇもん、食ってってけぇろ」秦野の方言を使ったユニークなキャッチフレーズとともに、去年4月に販売を開始した「名水はだの 地産地消弁当」が今、市内外から広く人気を集めています。  きっかけは、3年前の秦野たばこ祭。地場産農産物の魅力を広めようと市内の農家が集まり、特産物を使った料理を販売する「秦野の農村レストラン」を企画しました。  その素朴で温かみのある味は、大好評でした。そこで、より身近に地元の味に触れてもらおうと立ち上がったのが、17人の農家の女性たち。月に2回、育てた野菜をみんなで持ち寄って弁当を作り、「弘法の里湯」と「はだのじばさんず」で販売することにしました。 「味付けは一人一人違うし、地場産にこだわると、おかずの組み合わせも難しくて」 と話すのは、実行委員の代表を務める大木敏子さん(61歳・堀山下)。野菜を育てるプロでも、一度に多くの弁当を作るのは初めて。新たな試みに、苦労も多かったといいます。  しかし、そんな苦労も、料理の品数を増やし、それぞれが得意な調理を分担することで解決。今では、調理場に活気のある声が飛び交い、テキパキと弁当を仕上げていきます。 「最近は団体さんからの注文もあります。多くの人に知られてきたと思うと、うれしいですね」  笑顔がこぼれる大木さん。先月のメニューは、旬の食材を使ったタケノコ弁当。弘法の里湯では販売と同時に行列ができ、即完売の人気ぶり。横浜市から来た50代の女性は、 「お弁当が販売される日は必ず来ています。自然の香りがして、何だか安心して食べられます」 とすっかりファンの様子。  そんな客の思いに、大木さんも地産地消への熱意が高まります。 「地元の良さを生かしながら、食材を自分たちで育て、調理し、販売する。季節や場所に関係なく、手軽に食が楽しめてしまう今だからこそ、私たちの弁当が受け入れられているんだと思います」  秦野の「農ガール」たちの愛情たっぷりの弁当が、これからも地産地消の大切さを伝えていきます。  日本には古くから「四里四方に病なし」という言葉があります。これは自分の住んでいるところを中心に、四里(約16キロメートル)四方で採れた新鮮なものを食べていれば、病気にならないという意味で、地産地消の原点ともいえるものです。  今や健康を支えるだけでなく、生産者と消費者を結び付けたり、郷土愛を育んだりもする地産地消。  食生活が豊かになる一方で、食習慣の乱れや伝統的な食事への意識の低下などが問題となる中、地産地消の輪を広げていくことが、それらを解決するきっかけとなるかもしれません。 参加者募集 お皿にいっぱい秦野の味 アイデア料理コンテスト 審査員の前で調理 ボンチーヌ とき 11月29日(土) ところ 保健福祉センター 対象 市内在住・在学の小・中学生 応募方法 応募用紙(市役所1階健康子育て課、2階健康づくり課、市ホームページにあります)に秦野の特産物を1品以上使ったオリジナルレシピを添えて、9月26日(金・必着)までに、〒257—8501健康づくり課へ郵送または持参 審査 書類審査でコンテストに出場する10人を決定 参加賞 応募者全員に、市食育キャラクター「ボンチーヌ」のファイルをプレゼント 市ホームページでレシピを公開  昨年の入賞作品11点のレシピを公開しています。ぜひご家庭でも作ってみてください。 問い合わせ 健康子育て課親子健康班☎(82)9604 募集 はだの産農産物応援サポーター  サポーターになると、次の特典があります。あなたも一緒に地産地消を応援しませんか。 ◇ 消費者サポーター 地産地消に関する情報を定期的に受け取ったり、生産者との交流イベントに参加したりできます ◇ 事業所サポーター のぼり旗やペナントなど専用の啓発物品を利用できるほか、市ホームページなどで事業所を紹介します 申 し込み 申請書(はだの都市農業支援センター(平沢477)、市ホームページにあります)を、〒257—0015はだの都市農業支援センターへ郵送または持参 援農ボランティア  規模の拡大や高齢化などで、労働力不足となっている農家の手伝いをしませんか。種まきや収穫、畑の管理、出荷の調整など、農家ならではの貴重な体験ができます。 問 い合わせ はだの都市農業支援センター  ☎(81)7800