○広報はだの10月1日号4面5面 5 平成27年(2015年)10月1日 広報はだの 平成27年(2015年)10月1日 4 地域が受け継ぐ江戸の光 秦野にともる大山灯籠  大山詣りが盛んだった江戸時代、7月から8月の夏山といわれる時期にだけ建てられた灯籠が、夜の参詣者の道案内になっていた。  地元の人たちの手で守り継がれてきた、この「鶴巻下部大山灯籠行事」が、無形文化財として今年6月に、市の重要文化財に指定された。  なぜ「無形」なのか。それは、灯籠のみではなく、200年以上もの間、組み立てと解体を繰り返した、人の「わざ」と行事そのものが文化財だから。  この伝統に、今も変わらず携わる人たちの熱意に触れた。 鶴巻下部大山灯籠行事の動画を、市ホームページに掲載しています。 秦野 鶴巻下部大山灯籠行事 検索 伝統を組む  7月25日、午後4時過ぎ。暑さが一向に引かない中、汗だくの大人約30人が、そろいのTシャツで倉庫の中から年季の入った灯籠や屋根、柵などを次々と担ぎ出す。それらは住宅街の一画に規則正しく並べられ、建物の土台が組まれ始めた。鶴巻地区の夏の風物詩、「鶴巻下部大山灯籠行事」の始まりだ。  60を超える部材で構成される大山灯籠。釘は使わず、木製の部材のみで組むことも、昔と変わらない。  「それはもっと上に」「高いから気を付けて」  行事を仕切る「鶴巻下部大山灯籠保存会」のメンバーは、声を掛け合いながら、江戸時代の風合い残る大切な部材を慎重かつ手際よく組み立てる。 「物心が付いたころから、身近に感じていたこの伝統を守っていきたいと思っていました」  そう話すのは、10年ほど前、定年を機に保存会へ入り、現在は会長を務める久保寺保美さん(71)。初めは少なかった会員も、志を共にする仲間が年々増えて、今では30人にもなった。  およそ1時間で、灯籠を守る覆屋の屋根が乗り、柱にしめ縄が巻かれて完成。火がともると、メンバーたちからは安堵の笑みが。代々受け継がれてきた火は、見る人に時代のロマンを感じさせる。  8月18日。苦労して造り上げた覆屋と灯籠は、わずか3週間あまりで解体された。そのはかなさもまた、江戸から続く風情といえる。 みんなの文化財に  灯籠の竿に記された明和6年(1769年)建立、文政5年(1822年)再建の文字。    他の地域にも大山灯籠はあるが、鶴巻下部のように大規模な覆屋があるものは非常に珍しい。何より、江戸時代中期から地域住民の手で変わらず受け継がれていることは、大山信仰の歴史を未来に残すための貴重な習俗といえる。  これらのことが有識者にも認められ、今年6月23日に市教育委員会が36件目の市重要文化財に指定。無形文化財としては、瓜生野百八松明・盆踊りに次いで、3件目となる。 「4、5年前から、会の中でもこの伝統をもっと広く知ってもらって、より多くの人の力で守っていきたいという声があがっていたので、今回の指定は、大きな力になると思います」   仲間との思いが実り、久保寺会長の思いもひとしおだ。  多くの人を見送り続け、その役目を終えてもなお、毎年必ず火がともされる大山灯籠。200年以上繰り返されてきたこの伝統行事からは、地域を愛する人々の温かさと、時の尊さを感じる。 組み立て作業の音頭 を取る久保寺会長 ❶ ❷ ❸ ❹ ❺ ❻ ❼ ❽ ❾ ❿ ⓫ ⓬ ⓭ ①屋根と柱の間の部品を慎重に手渡す ②土台を組む ③強い日差しの中での作業 ④重い木材は力を合わせて ⑤覆屋の顔「鬼板」の取り付け ⑥細かいところまで緻密に造られている装飾 ⑦慣れた手つきで次々と組み上げていく ⑧しめ縄を付ければ完成間近 ⑨優しく辺りを照らす灯籠 ⑩⑪灯籠を外す ⑫木材を慎重に運ぶ ⑬土台のみとなり行事が終わる 知っていますか 文化財  文化財は、人間の営みによって生み出された歴史的、文化的価値の高い建築物、資料や芸術などを指します。この貴重な文化財を後世に伝えていくため、国、県や市町村では法律や条例により、保護と活用を図っています。市内には、国指定・登録が4件、県指定が5件、市指定が36件あります。 秦野市にある主な文化財 国指定 国登録 県指定 市指定 名称 芸能 義太夫節 浄瑠璃 猿渡堰堤 山ノ神堰堤 戸川堰堤 鶴巻の大ケヤキ 木造大日如来坐像 二子塚古墳 平沢同明遺跡出土の弥生前期壺型土器 相模のささら踊り 石造六地蔵尊像 木造聖観音菩薩立像 ニホンオオカミの頭骨 米倉丹後守一族の墓地 源実朝公御首塚 椎群 桜土手古墳群 瓜生野百八松明 戸川原の双体道祖神 二子塚古墳出土の銀装 圭頭大刀附二子塚古墳 横穴式石室内出土物 指定年月日 平成11年6月 平成15年3月 昭和28年12月 昭和49年4月 昭和58年8月 平成15年2月 平成20年2月 昭和40年12月 昭和40年12月 昭和40年12月 昭和43年3月 昭和46年7月 昭和46年7月 昭和47年12月 昭和50年8月 平成24年1月 平成25年9月 所有者 (所在地) 竹本駒之助 (南矢名) 県(堀山下) 県(堀山下) 県(戸川) 地神社(鶴巻南) 宝連寺(蓑毛) UR都市機構 (下大槻) 市(堀山下) 秦野ささら踊り保存会 (戸川など) 真静院(渋沢) 東光寺(南矢名) 個人(三屋など) 蔵林寺(堀山下) 市(東田原) 桂林寺(堀西) 市ほか(堀山下) 市(南矢名) 戸川原自治会 (戸川) 市(堀山下) 問い合わせ 生涯学習課文化財団担当☎(87)9581 参加者 募集 散策で秋を感じよう 弘法山観察ハイク とき・ところ 10月10日(土)午前9時鶴巻温泉駅北口集合~弘法山〜午後3時秦野駅 定員 30人(申し込み先着順) 里山を歩こう「実りの秋」 とき・ところ 10月17日(土)午前9時東公民館集合~正午 内容 野鳥や植物の観察 定員 30人(申し込み先着順) 問い合わせ 環境保全課☎(82)9618 土壌動物の観察会 とき・ところ 10月17日(土)午前9時20分震生湖駐車場集合~午後1時 ※秦野駅南口への送迎あり 定員 40人(申し込み先着順) 木の実を活用した油づくり とき・ところ 10月24日(土)午前9時秦野駅集合〜(バス)〜南平橋〜東海大学~午後2時 定員 15人(申し込み先着順) 問い合わせ 森林づくり課(82)9631 参加者 募集 名月で秋を感じよう 緑水庵でお月見 とき 10月3日(土) 午後3時半~8時 ところ 緑水庵 内容 お月見飾りの展示、模擬店、琴やオカリナの演奏など 問い合わせ 環境保全課☎(82)9618 お月見キャンプ とき 10月24日(土)午後1時半~25日(日)午前10時 ところ 表丹沢野外活動センター 内容 お月見にちなんだ料理作りなど 定員 小学生以上30人(申し込み先着順。小学3年生以下は保護者同伴) 費用 1700円 問い合わせ 表丹沢野外活動センター☎(75)0725 遺跡・遺物が語る かながわ・秦野の歴史2015 横野山王原遺跡 とき 10月7日(水)~11月29日(日) 内容 市内を中心とした新東名高速道路建設の発掘調査成果の展示 ミュージアムさくら塾 秦野市東地区の古代から中世 とき 10月24日(土) 午前10時~正午 内容 東地区の発掘調査成果の解説 定員 70人(申し込み先着順) 費用 100円 ※いずれも桜土手古墳展示館 問い合わせ 桜土手古墳展示館☎(87)5542 テレビ東京「出張!なんでも鑑定団in秦野」 鑑定品と番組観覧者を募集 秦野丹沢まつり60回記念  有名な鑑定士が、皆さんの家で眠るお宝(陶器、玩具、書物など)の鑑定をしにやってきます。 とき 平成28年2月7日(日) 午後1時~3時 ところ 文化会館 鑑定依頼の申し込み  申込用紙(市役所西庁舎1階観光課、公民館、連絡所などにあります)に依頼品の写真を添えて、11月30日(月)までに〒257−8501観光課「なんでも鑑定団」受付へ郵送または持参 番組観覧の申し込み  往復はがきに観覧希望者の郵便番号、住所、氏名、電話番号を書き、11月30日(月)までに〒257−8501観光課「なんでも鑑定団」受付へ郵送(申し込み多数のときは抽選)。 ※抽選結果は1月中旬に発送。当選はがき1枚につき2人まで入場できます 問い合わせ 観光課☎(82)9648