○12月1日号2面 広報はだの 平成27年(2015年)12月1日 2 12月3日〜9日は障害者週間 個性の輝き 受け止めて  誰もが持つ表現する自由と喜び。絵はその人の内面を映し出すだけでなく、互いの理解を深める大切なコミュニケーション手段にもなる。  今号では、障害のある人の絵に向き合う真摯な姿を認め、支えていきたいという熱い思いを取材した。 常識にとらわれない絵の魅力 「写真からイメージを膨らませて。自由に描いていいんだよ」  優しく語りかけるのは、美術教育指導者の三嶋眞人さん(66歳・水神町)。障害者の自立支援をする、NPO法人「ちっちゃな星の会」での一コマだ。三嶋さんは、指導者として全国を回ったり個展を開いたりする傍ら、美術教員や養護学校職員だった経験を生かし、2年前から月2回、ここで絵を教えている。 「始めは色がぐちゃぐちゃでしたが少しずつ絞ることができ、落ち着いてきました」  渡邊拓矢さん(27歳・中井町)は、クレヨンを塗りながら、はにかんで答える。5年前、就職先で他人とコミュニケーションを取ることが難しいと感じ、「ちっちゃな星の会」に通い始めた。小さい頃から大好きだったという絵を三嶋さんから教わっている。  頭の中でイメージした独自の世界観を自由に表現するのが、渡邊さんの持ち味。微妙にタッチの違う色鮮やかな創作画を何枚も描きためていた。 「ありのままの素直な気持ちで描かれています。既成概念が入らない絵は、私たちが忘れてしまいがちな純粋な要素があって、ひきつけられますね」 と三嶋さん。コミュニケーションがうまく取れないと、集団生活には馴染めないかもしれない。しかしその反面、狙いもなく、他人の評価に惑わされず描いているので、表現力が研ぎ澄まされ絵が際立つという。 認めることの大切さ  三嶋さんは、秦野自閉症児者親の会が持つ「アートサークル」でも、5年前から絵を教えている。  「見えるとおりに描けない」「具体的な形にならない」など、保護者から不安な声が寄せられることもあるという。 「親がまず変わらなくてはいけません。自分の子供をそのまま受け入れることですね」  子供は自分が認められたと実感することで自信を持ち、絵の個性も引き出されていくと三嶋さんは強調する。  ハンディを乗り越え、絵画などで自己表現をしている人を社会に認めてもらう、身近な手段の一つが「展覧会」だ。  作品を発表する場をつくろうと3年前から市内で企画されている「気づきの時展」。障害者が生み出す作品の素晴らしさを多くの人に気付いてもらうことを目的としている。 「彼らの作品は、心の深い部分にストレートに入ってきます。言葉以上に冗舌なんです」  企画者の石原瑞穂さん(58歳・若松町)は話す。展覧会に訪れた人が、言葉や行動での表現が乏しい「作家」と話すことができなくても、目に留まった作品とのコミュニケーションは取れるはずだと強調する。  先月開催された「気づきの時展」では、渡邊さんをはじめ三嶋さんの教え子たちの絵も展示された。 「子供たちの生きるすべを考えると、多くの人に能力を認めてもらい、表現の世界で社会に適応できる道を開拓してあげたい。皆さんも、まずは彼らの絵を観ることから始めてほしいですね」  展覧会など、さまざまな形で作品を世に送り出し、それが障害者の生活の糧になればと願っている三嶋さん。私たちも、アート作品に触れる機会を大切にし、作品が放つ個性の輝きを見いだしていきたい。 渡邊さん(右)に絵を指導する三嶋さん(ちっちゃな星の会で) 認めることで個性が光る(アートサークル) 三嶋さんの教え子たちの絵(左下が渡邊さんの作品) みんなで出掛けよう 大道イルミネーションフェスティバル 心温まるイルミネーション  市内の障害者施設や地域の商店会、自治会が協力して制作したイルミネーションオブジェを展示します。 と き 12月5日(土)~24日(木) 午後5時半~8時 ところ さかえちょう公園(栄町9−14) 5日はイベントも開催 とき・内容 ◇正午~ 模擬店など ◇午後1時半~ 地元ブラスバンドなどの演奏 ◇4時45分~ イルミネーション点灯式 ※荒天中止 東海大学駅前フェスタ よさこい踊りで盛り上げる と き 12月12日(土) 午前11時~午後6時(一部の模擬店は午後3時まで) ところ 東海大学前駅駅前広場(駅南口) 内 容 障害者施設などの製品販売・作品展示、模擬店、ダンス、地元音楽教室のクリスマスライブなど 販売品 パン、クッキー、マドレーヌ、シフォンケーキ、ラスク、手芸品、アクセサリーなど 問い合わせ 障害福祉課☎(82)7616