宮永岳彦と肖像画
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1974年(昭和49年)、宮永岳彦はブラジルの日伯文化協会(現・ブラジル日本文化福祉協会)の依頼によって、当時の皇太子と皇太子妃(現上皇・上皇后陛下)の肖像画を描きました。
この『皇太子・同妃両殿下御肖像画』はいずれも60号の大作で、サンパウロ市にある日伯文化協会皇太子記念館貴賓室に奉掲されました。明治以降、日本人で宮内庁の正式な許可を得て天皇家を描いたのはこの作品だけといわれています。
宮永はその時の感動を次のように語っています。「日本において、明治・大正・昭和三代の御世に皇室の御肖像画を正式に描いたのは私が初めてであることも感動のひとつである。この機会に恵まれたことは誰の命令でもなく、私個人の意志と希望であった」
制作に当たって宮永は、東宮御所で両陛下と面会し、「心のスケッチ」によりイメージを膨らませました。「何度かお逢いして、その人柄に接し深い感銘を受けた。そのままの感動を表すべく筆を取った。皇太子殿下は威厳を、妃殿下は慈悲を、最も表現したかったのはこの1点である」
宮永はこの作品によって、ブラジル政府からサン・フランシスコ最高勲章グランクルース章を受章。宮永はその長いキャリアのなかでも、このことを「画家としてこれほどの光栄はないと喜び、勇んだ次第であった」と最も誇りにしていました。
その後、1978年(昭和53年)から1979年(昭和54年)にかけては、国際芸術文化振興会からの依頼で、インドネシアのスハルト大統領夫妻とその令嬢の肖像画を描き、また衆議院の依頼により『平和憲法公布記念式典図』(1978年)と『第1回国会開会式図』(1980年)を制作しました。それらは画家・宮永にとっての輝かしいステイタス・シンボルとなりました。
宮永岳彦記念美術館では、宮永家が所蔵する『皇太子・同妃両殿下御肖像画(縮小写真)』を展示。一貫して大衆の豊かさへの願望を描き続けてきた宮永が、名誉という精神的な豊かさを享受しながら表現した肖像画の世界を紹介します。
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