コンテンツにジャンプ メニューにジャンプ

トップページ > 市政情報 > 財務 > 令和2年度 >令和2年度秦野市長施政方針

令和2年度秦野市長施政方針

問い合わせ番号:15826-7715-9125 登録日:2019年2月26日

シェア

 2月26日(水曜日)に開会した令和2年第1回定例会の冒頭に令和2年度施政方針を述べさせていただきました。

秦野市長 高橋昌和

令和2年度施政方針を述べている様子

はじめに

 令和2年度の一般会計予算案をはじめ、諸案件を提案するに当たり、私の市政に臨む基本方針と主な施策について述べさせていただきます。

“東京2020をオールジャパンで盛り上げる”

 オリンピック・パラリンピックの開幕まで半年を切った1月29日、私は、選手たちが交流する「ビレッジプラザ」の内覧会に出席しました。

 全国63自治体から寄せられた木材が1本ずつ柱や床として緻密に組み込まれた中に、「神奈川県秦野市」と刻印されたヒノキを見つけ、手に触れた時、その温もりと「百年檜」の重みが伝わってきました。

 このヒノキは、大正12年当時、将来の校舎建替えに使うため、北小学校の子どもたちが苗木を植えたもので、その後も代々、学校林として下草刈りや枝打ちを行いながら、大切に育てられてきました。

 こうして1世紀に渡り、子どもたちの愛情が込められた秦野産材が、今、夢と感動の舞台を支えていることに、誇らしさを感じました。

 “故(ふる)きを温(たず)ね新しきを知る”

 まちづくりは、そのまちの歴史を知ることから始まる。これは、私が思うまちづくりの原点です。

 本市飛躍の契機となる新東名高速道路の開通が令和3年度に迫っています。この建設工事に伴う発掘調査では、縄文期の敷石住居や中空土偶のほか、富士山宝永大噴火の降灰による壊滅的な被害を克服した天地返しの遺構が出土するなど、秦野の地に生きた人々の古代から連綿と続く営みの足跡が明らかになりました。

 不屈の精神で田畑の復旧を成し遂げた我が先人たちは、その後、葉たばこ栽培に新たな活路を見いだし、後に日本三大銘葉の産地の一つと称えられるまでの見事な復興を果たしました。この気概は、今なお、本市最大のイベントである「たばこ祭」へと姿を変え、市民に受け継がれています。

 悠久の時が流れる中、本市の未来を切り拓く事業から先人たちの知恵と汗の結晶の一端を垣間見ることができ、愛する丹沢の裾野に息づく豊かな歴史にロマンを感じ、我がまち秦野の無限の可能性を確信しました。

 本市の限りない発展のため、夢や希望が溢れるまちづくりに全力で取り組み、市民が愛着を持ち、自慢できる「ふるさと秦野」を次世代へ引き継いでまいります。

新総合計画の策定に向けて

 さて、平成の時代は、バブル景気とその崩壊、東日本大震災をはじめとした大規模な自然災害、情報通信技術の急速な進展、そして、本格的な人口減少・少子・超高齢社会の到来などにより、人々の価値観、社会構造が変貌した30年でした。

 令和という新たな時代では、間もなく団塊の世代が75歳を迎えるなど、少子高齢化がさらに進んでいくことを踏まえ、国は全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度の仕組みづくりを進めています。

 年齢、性別によらず、意欲ある限り生涯現役で働き続けることや、子どもからお年寄りまでの誰もが活躍でき、共に支え合いながら安心して暮らすことができる人生100年時代に適応した、持続可能な社会への転換が求められています。

 一方、自然環境に目を向けると、全国各地で猛暑や集中豪雨などの異常気象による災害が相次ぎ、その要因は地球温暖化などの気候変動の影響とも言われています。

 昨年の台風19号では、本市でも山間部を中心に道路の陥没や農地の崩落など、市民生活に甚大な影響が出ました。改めて、災害への備えや対策は、安全で安心して暮らせるまちづくりの基本であることを強く認識しました。

 まちづくりへの課題が複雑・多様化していく中、現在、策定を進めている新総合計画では、こうした時代の変化やSDGsが掲げる世界共通の目標などをしっかり捉え、子や孫の世代、さらにその先を見据えた秦野の将来像を市民と共に描いてまいります。

市民力、職員力の結集

 本市のあるべき姿として、市民の願いが一つに込められた秦野市民憲章は、昨年10月に制定から50年を迎えました。

 私たちの郷土に息づく「丹沢の美しい自然」、「きれいな水とすがすがしい空気」、「豊かな文化」など、市民憲章で掲げる本市の魅力ある地域資源は、平和を愛する市民のたゆまぬ努力の上に築かれてきました。

 秦野を訪れた大切な人に自信を持っておすすめできる場所や物があり、それが人を魅了したとき、市民は我がまちを誇らしく感じます。秦野に魅力を感じた人は、今度は自分の大事な人や仲間と一緒に訪ねたいと思うようになります。そんな人から人への広がりが「本物の魅力」を育んでいくのだと思います。

 我が「ふるさと秦野」をこうした魅力に満ちた都市にするため、挑戦し続けてまいります。
そして、「みんなの発言で住みよいまちを、それは私たちのちかいです。」と、宣言した市民協働の崇高な精神の下、一人ひとりの声を大切にしながら、地域力、職員力を結集し、市勢の着実な伸展を図ってまいります。

 感動のオリンピックが戻って来る歴史的な年の年頭に当たり、1年にかける想いを表す漢字に、「飛」の一文字を選びました。これまでの2年間で種をまいた取組みを未来へ飛躍させていく、この気持ちを力強く表明するためです。

令和2年度の取組み

 そこで、令和2年度当初予算では、「市民の安全・安心を守る」という原点に立ち返り、防災・減災対策への取組みを強化すること、そして、半世紀ぶりの東京五輪を多くの市民が心に残るものにしていただくことに力点を置きつつ、今、優先的に取り組むべき「未来へつなぐ5つの重点事業」を、まさに五輪のマークのごとくつなげ、前進させる「ふるさと秦野の魅力を磨き、未来へ飛躍する予算」として編成しました。

 それでは、主な取組みのうち、まず、災害への備えとオリンピック・パラリンピックに関連する施策について、説明します。

災害への備えとオリンピック・パラリンピックに関連する施策

 災害対策では、先ほど申し上げた、台風19号により被災した道路や農地について、1日も早い復旧に努めます。また、被害が想定される箇所をあらかじめ改善し、災害の未然防止に努めるとともに、水路などの現況調査を行い、実態を把握したうえで対応策を検討するほか、災害対策本部となる市役所本庁舎では、72時間以上の電力を確保するため、自家発電機の燃料タンクを増設し、災害対応力の強化を図ります。

 また、神奈川県により土砂災害特別警戒区域が見直されることから、防災マップ・ハンドブックをリニューアルして周知するとともに、浸水想定区域内の電柱に浸水の深さや避難所を表示した看板を順次設置するなど、市民の防災意識をさらに高める取組みに加え、自治会との連携による講習会や実践的な訓練により、地域全体で支え合う体制を強化し、防災力の向上を図ります。

 避難所環境の整備では、避難所運営委員会による、より円滑な運営体制の構築や簡易ベッドの増設など要配慮者に対応した備蓄、感染症対策の推進により、避難所環境の質を向上させ、発生の切迫性が指摘されている大地震へ備えます。

 いよいよ本年4月には、オリンピックの正式種目となったスポーツクライミングの拠点として、ボルダリング施設である「はだの丹沢クライミングパーク」がオープンします。オープニングイベントでは、隣接する県立山岳スポーツセンターのリード、スピードとあわせた、全国有数となる施設で「スポーツクライミング秦野チャンピオンシップコンバインド 2020」を開催します。また、オリンピック競技を観戦する機会を設け、小中学生などが世界のトップアスリートのプレーを間近に見ることで、運動意欲の向上や国際理解の促進につなげます。

 そして、市役所玄関前にある「平和の灯(ともしび)」をパラリンピックの聖火として神奈川県に送り出す「東京2020パラリンピック聖火フェスティバル」を、「ピースキャンドルナイト」にあわせて開催し、パラリンピックの機運醸成と平和意識との融合を図ります。

 大会後には、アスリートたちのふれあいの場であった「ビレッジプラザ」に使われた秦野産木材が戻ってきますので、その誇りがいつまでも市民の心に刻まれるような活用を検討します。

重点事業 「地域医療の充実・強化」

 続いて、未来へつなぐ5つの重点事業について、説明します。

 重点事業の1点目、「地域医療の充実・強化」です。

 秦野赤十字病院の分娩業務の再開をはじめ、小児医療、救急医療といった地域医療の充実・強化に当たっては、引き続き、地域の拠点となる病院や各医療機関、神奈川県、関係機関、団体と連携し、市民が必要なときに、適切な医療が安心して受けられるよう、取り組みます。また、本年4月には、秦野赤十字病院との共同で派遣型救急ワークステーションを開設し、医療の早期介入による救命率の向上及び後遺症の軽減を図るとともに、救急隊員の教育体制を確立します。

 妊娠から子育てまでの切れ目のない支援の推進では、出産後の母親の健康状態を把握するため、産婦健康診査の費用への助成を新たに開始し、医療機関との連携を強化することで、産後ケア事業への参加を促すなど、産後うつの予防及び早期対応を図ります。また、新生児聴覚検査の費用を助成し、難聴の早期発見に努めます。

 市民健康診査やがん検診の受けやすい体制づくりについても、引き続き進めるとともに、健診結果に基づきながら、疾病の重症化予防や介護予防など、市民一人ひとりにあわせた健康づくりを支援するため、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に取り組みます。

 さらに、骨髄などのドナー登録者の拡大と提供者の経済的負担を軽くするための支援を新たに開始します。

重点事業 「中学校給食の完全実施」

 2点目の、「中学校給食の完全実施」では、令和3年12月の開始に向け、「安全・安心でおいしい、生徒が喜ぶ中学校給食」を実現するため、昨年10月に、食の安全への高い意識と豊富な受注実績を有する企業グループを選定し、12月に基本協定を結びました。

 新年度は、この公民連携による学校給食センターの建設や、各中学校へのコンテナ配送用エレベーターの設置を着実に進めるとともに、学校や保護者と連携しながら、成長期の子どもたちにふさわしい献立づくり、生徒や教職員の負担に配慮した配送・配膳方法の確立などに取り組みます。

 また、秦野市農業協同組合や秦野商工会議所と連携し、学校給食での地産地消を推進することで、地域に根差した食育と市民総ぐるみの産業振興につなげます。

重点事業 「教育水準の改善・向上」

 3点目の、「教育水準の改善・向上」では、学校における働き方改革の推進とあわせて、組織体制を強化し、学校への支援体制を充実させているほか、授業内容の改善や児童、生徒の学力向上に向け、家庭学習ノートの作成、民間企業と連携した放課後の学習支援を行っています。

 新年度は、教職員の意識改革や人材育成のために、新たな学校支援策として、先進事例を積極的に取り入れ、大学や企業との公民連携による授業力向上プロジェクトに取り組むとともに、教育支援アドバイザーを招き、教育水準の改善や向上につなげます。

重点事業 「小田急4駅周辺のにぎわい創造」

 4点目の、「小田急4駅周辺のにぎわい創造」では、それぞれの地域資源や特色を生かした楽しい「まち歩き」の仕掛けづくりに取り組みます。

 秦野駅北口周辺では、県道705号の拡幅事業を促進するため、神奈川県に対して、積極的に協力、支援を行うとともに、地元と連携し、沿道周辺の商店街の再形成や狭い道路の解消など、まちの再生に向けた取組みを進めます。

 さらに、地域の魅力ある文化資源を掘り起こすため、本町四ツ角周辺の近代建築物の国登録有形文化財への登録を目指すほか、秦野水道130周年を記念し、曽屋水道公園の改修を行います。

 秦野駅南口周辺では、今泉地区において、土地区画整理事業による建築物の移転補償や造成工事を進め、将来を見据えた駅周辺の活性化につなげます。また、今泉名水桜公園からはだの桜みち、さらにその先の渋沢丘陵へと訪れていただけるよう、間もなく誕生から100年を迎える歴史的な震災遺構である震生湖では、湖畔から見る四季折々の風景などを楽しみながら、安全に散策できる整備を進めます。

 渋沢駅は、多くの登山者が訪れる表丹沢への玄関口です。駅周辺では、毎年4月の秦野丹沢まつりで、首都圏近郊で一番早い「山開き式」にあわせた多くのイベントを実施しています。引き続き、表丹沢の魅力を発信するとともに、頭高山の八重桜など自然や文化を紹介し、商店会や関係団体と連携しながら、周遊性を高める取組みを進めます。

 東海大学前駅周辺では、北口でのエレベーターやエスカレーターの設置に着手するとともに、駅につながる市道9号線の改良を行い、駅利用者の利便性と踏切周辺の安全性を高めます。また、長年の懸案であった駅前交番の南口広場への移設については、神奈川県が整備を計画していますので、実現に向けて協力するなど、住みよいまちへの基盤整備を進めます。

 鶴巻温泉駅周辺では、昨年、大山と駅を結ぶバスが秋の登山シーズンにあわせて本格運行されましたので、更なる利用客の増加に向け、運行期間を拡大します。車内では、「はだのふるさと大使」の吉田栄作さんによる音声案内により、話題性を高めて鶴巻温泉をPRするなど、バス運行の取組みを地域の活性化に結び付け、名湯を生かしたにぎわいづくりを進めます。

 4駅共通の取組みとしては、引き続き、にぎわいのある商店街づくりを進めるため、商店会加盟店舗の改装などの費用を助成するとともに、商業者団体が実施するにぎわい創出のための各種事業を支援します。

重点事業 「新東名・246バイパスの最大活用」

 5点目の「新東名・246バイパスの最大活用」では、新東名高速道路の開通により本市の新たな玄関口となる、「(仮称)秦野サービスエリア・スマートインターチェンジ」の供用開始を見据え、アクセス道路の整備を着実に進めます。

 戸川地区における土地区画整理準備組合に対しては、引き続き、技術支援を行い、土地区画整理組合の早期設立を目指します。あわせて、新たな雇用創出に向け、本市の特性を生かした企業誘致を進めます。

 表丹沢には、東側のヤビツ峠周辺から西側の(仮称)秦野インターチェンジ周辺までの広範囲で展開する、農林業、観光、文化、歴史、スポーツなど、様々な分野の資源があります。これらを結び付け効果的に魅力を発信することで、交流人口の増加と地域活性化につなげる、「(仮称)表丹沢魅力づくり構想」を策定するとともに、様々な事業を展開していきます。

 具体的には、「はだの丹沢クライミングパーク」を中心に、体験教室や競技会を通じて、スポーツ・レクリエーションを楽しめる環境を充実していきます。

 また、森林セラピー事業では、5つのセラピーロードの環境整備や地域資源である豊かな森林と里地里山を生かした体験プログラムを実施し、自然を楽しみながら心と体の健康増進を図ります。

 そして、ヤビツ峠周辺では、多くの人でにぎわう表丹沢の東の玄関口としての立地を生かし、登山者やサイクリストが気軽に立ち寄ることができる、新たな交流拠点施設を整備するとともに、その運営手法の検討と効果的な情報発信に取り組みます。

 大倉高原周辺では、老朽化した施設を取り壊すとともに、表丹沢唯一のテントサイトを活用しながら、初心者でも山歩きが楽しめるよう、新たなハイキングコースを整備するほか、案内看板を設置します。

 国道246号バイパスは、東名高速道路と新東名高速道路をつなぎ、災害時の重要路線になるとともに、産業や地域振興の面からも、本市の更なる発展につながることが期待されています。「(仮称)伊勢原西インターチェンジ」から「秦野中井インターチェンジ」の事業区間については、横浜国道事務所が、令和元年度で道路設計をおおむね完了させ、引き続き、用地買収について、地元への説明を行うとのことですので、本市としては出来る限りの協力を行い、早期の完成に向けて事業進捗を図っていきます。未事業化区間については、神奈川県及び近隣関係自治体と協力し、全線事業化に向けて、精力的に国への要望活動に取り組みます。

 東名高速道路や国道246号バイパスの事業化区間に隣接する西大竹地区では、中井町と連携し、土地区画整理準備組合への技術支援を行い、市街化区域編入により、産業拠点の整備を目指します。

豊かな自然と調和した快適なまちづくり

 続いて、総合計画後期基本計画に掲げた5つの基本目標に沿って、説明します。

 はじめに、「豊かな自然と調和した快適なまちづくり」の施策です。

 世界的に環境問題への取組みに対する意識が高まる中、市民共有の財産である秦野の豊かな自然を守り、次世代へ引き継ぐために、「環境基本計画」の第3次計画を策定します。また、本市の特性を生かした再生可能エネルギーである木質バイオマスの導入に向けて、調査を進めます。

 ごみの減量と資源化の推進では、はだのクリーンセンター1施設によるごみ処理体制に向けて、事業者の適正な排出を強化するため、全事業所への訪問調査や模範となる優良事業者に対する認定制度を創設します。

 また、外国籍市民も、スマートフォンなどで、ごみ分別ルールを5か国語で確認できるようにするほか、各地区に整備したストックハウスの活用を市民に周知することにより、更なる分別の徹底に取り組みます。

 公園や緑地の整備では、おおね公園の遊具の改修や総合体育館中央監視装置を更新するなど、施設を適切に維持管理し、利用者の安全性・利便性の向上を図ります。

地域で支えあい安心・安全に暮らせるまちづくり

 次に、「地域で支えあい安心・安全に暮らせるまちづくり」の施策です。

 就学前の子どもの教育・保育環境の充実では、老朽化が進む公立こども園を計画的に改修し、施設の長寿命化と保育環境の向上を図るとともに、2園で利用定員を拡大し、待機児童の解消に取り組みます。

 また、全ての児童が放課後を安全に過ごし、多様な体験や活動を行うことができるよう、放課後児童ホームと放課後子ども教室の一体的な運営を広畑小学校で試行し、将来の全市的な導入に向けた検証を行います。

 児童虐待の発生予防では、相談にいち早く適切に対応する体制を強化し、子どもや保護者に寄り添う支援を充実します。

 地域共生社会の実現に向けた取組みでは、市民一人ひとりが互いに尊重され、共に支え合うことで、住み慣れた地域で心豊かな暮らしができるよう、「地域共生社会の実現に向けた基本方針」に基づき、新たに「地域共生支援センター」を設置し、包括的な支援体制の整備と地域の多様な力を結集した体制の強化に取り組みます。

 世界保健機関(WHO)から参加を承認された「エイジ・フレンドリー・シティ」の取組みでは、具体的な行動計画を策定し、あらゆる世代が支え合い、共に生きるまちづくりを目指します。中でも、高齢者などへの支援の取組みでは、要介護状態になるのを防ぎ、健康寿命を延ばすため、医療と介護の連携を強化するとともに、サロン活動やフレイル対策、認知症カフェの充実を図ります。

 障害者福祉の充実では、発達障害が疑われる児童の相談、支援を行う「ことばの相談室」の体制を強化するほか、障害者の特性に配慮した地域生活を支援することで、自己実現や社会参加を促進します。

 生活困窮者には、これまで行ってきた自立相談支援事業に、新たに就労準備や家計改善の支援を加えて、一体的に取り組みます。また、生活保護受給者の医療・健診データなどを分析し、効果的な医療受診を促すことで、生活習慣病の重症化予防など、生活の質の向上を図ります。

 スポーツ・レクリエーション施策では、スポーツ推進計画に掲げる基本理念「はつらつと・だれもが・のびのびとスポーツに親しみ、楽しむ秦野(まち)」の実現に向け、各種大会を実施します。また、サンライフ鶴巻の改修をはじめ、栃窪スポーツ広場をハイカーなどが立ち寄れる開放型の施設とするなど、利用環境の向上を図ります。

 空家対策では、良好な生活環境の保全のため、空家の所有者に対し、管理が行き届くように助言をするほか、関係団体と連携して、利活用を進めます。また、放置されている空家については、指導や勧告などを行うことにより、適正管理の対策を強化します。

 消防・救急体制の充実では、新東名高速道路の開通を見据え、昨年7月にリニューアルした消防署西分署に化学消防ポンプ自動車を配備し、救急隊の2隊運用を開始します。また、増加する救急需要に的確に対応するため、鶴巻分署の高規格救急自動車を更新します。

 消防団に関する施策では、企業や大学のイベントに出向き、入団の促進を図るほか、小型動力ポンプ付積載車など車両2台を更新し、地域防災力を強化します。

 交通安全施策では、高齢者が関わる交通事故が増加傾向にあることから、高齢者を対象に、安全運転診断に基づく交通安全教室を開催するなど、啓発活動を充実します。

 防犯対策では、新東名高速道路の開通に伴う人や車の流れの変化に応じ、防犯カメラを計画的に配置換えすることで、有効活用を図るほか、新たな設置についても検討します。

 市民の消費生活の保護施策では、高齢者や障害者がトラブルに遭わないよう、見守り者育成講座を開催し、地域ぐるみで被害の未然防止に取り組むとともに、多様な相談に対応できるよう、引き続き、消費生活センターの充実を図ります。

産業活力を創造し多彩な魅力に出会えるまちづくり

 次に、「産業活力を創造し多彩な魅力に出会えるまちづくり」の施策です。

 工業振興では、経営者の高齢化や人手不足が目に見えて進む中、生産性向上など、新たな設備投資による中小企業の資金需要の高まりに応えるため、融資資金に対する利子補助など、中小企業の金融負担を軽減し、経営の安定化、向上を図ります。また、企業等の立地及び施設再整備によって地域での安定した雇用を確保するため、雇用促進奨励金を交付します。

 就労支援では、ふるさとハローワークとの連携により、求職者の様々な事情に応じ、専門カウンセラーによる就職支援カウンセリングを実施するとともに、人手不足に対応するため、関係機関と連携し、企業見学会を開催するなど、市内企業への就職を促進します。

 商業振興では、特設サイト「ハダ恋にぎわい商店街」を拡充し、食料品・日用品の買い物の手助けを必要とする高齢者などを対象に、商品の配達や出張販売を行う店舗の情報を集約します。その情報をもとに、介護・福祉関係者と連携することで、消費者との接点づくりと魅力ある商店街づくりを促進します。

 観光振興では、「名水はだの富士見の湯」の利用者の増加に向け、レストランを改装するほか、観光ガイドマップをリニューアルすることで周遊性を高め、地域経済の活性化につなげます。

 農業振興では、農業者の経営基盤を強化するため、農業用機械の導入を支援するとともに、青年就農者の確保や、はだの市民農業塾による多様な担い手の確保・育成に取り組みます。また、農業者の労働力確保と障害者などの就労機会の拡充を図るため、関係機関と連携し、農福連携に取り組みます。

 さらに、鳥獣被害を減らし営農意欲の向上を図るため、ドローンを活用して、上空から鳥獣の生息地を特定し、環境整備、防除、捕獲を効果的に組み合わせた、より地域の実情に即した鳥獣被害対策を進めていきます。

 森林(もり)づくり施策では、豊かな森林を次世代へ引き継ぐため、ボランティア団体との連携による保全再生活動を進めるほか、都市圏における秦野産木材の活用促進を図るための品質調査を行います。

豊かな感性をはぐくみ笑顔あふれるまちづくり

 次に、「豊かな感性をはぐくみ笑顔あふれるまちづくり」の施策です。

 幼児教育の充実では、幼児教育・保育の無償化や公立幼稚園の園児数の減少に対応するため、公立こども園を含めた、今後の幼児教育のあり方について、現在検討中の方針に基づき、新たな計画を策定します。

 ICTを活用した教育の推進では、創造性を育む環境整備を目指し、令和元年度の小学校に続き、新年度は中学校の特別支援学級等へタブレット端末の配置を進めます。また、児童や生徒の情報活用能力を育む教育環境の実現に向けた「GIGAスクール構想」が昨年12月に閣議決定されたことを受け、小中学校の通信ネットワークを整備し、1人1台の端末を揃えるための計画を策定します。

 上小学校では、本市初の取組みとなる「小規模特認校制」を導入し、施設を一体化した上幼稚園との交流などの特色を生かしながら、地域との連携のもと、小規模校ならではの魅力ある学校づくりに取り組みます。

 教育施設の整備では、西中学校体育館の本年9月のオープンに向け、多機能型体育館の建設工事を着実に進めるとともに、旧体育館や西公民館の解体、周辺道路の歩道設置などの関連工事に着手し、令和3年度の事業完了を目指します。また、小中学校トイレ快適化第二次整備事業では、北小学校をはじめ7校のトイレの洋式化、快適化工事を実施します。これにより全ての小中学校で洋式の快適なトイレ整備が完了します。

 公民館においても、老朽化した設備の計画的な改修を進め、施設の長寿命化と利用環境の向上を図るほか、西中学校多機能型体育館内で新たな西公民館を開館します。

 図書館では、4駅連絡所で行っている図書の貸出・返却業務を広畑ふれあいプラザでも行えるようにするとともに、オンライン化により、図書の貸し出し状況が迅速に分かるようにします。

 桜土手古墳展示館では、開館30周年に向けて、本年11月に考古専門の展示館から、本市の歴史と文化を展示テーマとした総合的な歴史博物館である「(仮称)はだの歴史博物館」としてリニューアルオープンさせ、市内外に本市の歴史を紹介するとともに、市内に点在する歴史資源を結び付ける拠点とします。

 文化芸術活動の推進では、美術、書道、写真部門の公募展である市展を、50回目の節目を祝う記念展として開催するとともに、開館40周年を迎えるクアーズテック秦野カルチャーホール(文化会館)では、本市ゆかりの方々に関わっていただきながら、幅広い芸術活動を通じて「ふるさと秦野」の魅力を広く発信します。

市民と行政が共に力をあわせて創るまちづくり

 最後に、「市民と行政が共に力をあわせて創るまちづくり」の施策です。

 広報広聴活動では、市民ニーズの変化に敏感に対応しながら、分かりやすく親しみやすい広報づくりを目指すとともに、各種広報媒体を活用し、本市の魅力を発信します。また、市に寄せられる様々な意見を集約し、それらをしっかりと市政に反映できる取組みを推進します。

 市民との協働では、自治会が地域コミュニティの形成・維持に欠かせない役割を果たしているため、未加入者に対する「一軒一声掛け運動」や「集合住宅向け加入促進活動」などを自治会と連携して展開します。

 情報化の推進では、令和3年1月に、これまでの独自開発のシステムによる体制から、標準的で高機能なオープンシステムへ移行させ、業務の効率化を図ります。また、データ入力や集計などの定型的な事務処理を自動化できるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を試行導入し、効果的な活用を検討します。

 行政窓口サービスの拡充では、マイナンバーカードにより住民票の写しなどが取得できるコンビニ交付サービスを令和3年1月から開始します。また、本年9月から予定されている、キャッシュレス決済の買い物などに使えるポイントが付く「マイナポイント事業」の申込手続を支援します。

 行財政の最適化では、引き続き、人口減少・少子・超高齢社会における持続可能な行政運営のあり方を検討し、新たなプランを策定します。

 人材育成では、研修の充実や適切な人事管理、ワークライフバランスの確保など、職務環境の改善に努め、女性職員や子育て世代の職員など、誰もが活躍できる職場づくりを推進する視点を加えた、「職員(ひと)づくり基本方針実施計画」を策定します。

 公共施設の再配置の推進では、施設の計画的な維持補修を実施するための「(仮称)公共施設保全計画」と、この計画を前提として、施設全体の集約化などの方向性を定める「公共施設再配置計画第2期基本計画」の策定作業を進めます。また、公共施設の効率的な管理運営と市民サービスの向上を図るため、指定管理者制度導入のための市場調査を実施します。

 自主財源の確保策では、はだのふるさと寄附金について、様々な広報媒体を効果的に活用し、積極的に周知することで、全国に向けて支援を募ります。また、市税等の納付環境の拡充策として、スマートフォンによる納付方法を導入し、利便性の向上を図ります。

 以上、私の令和2年度における市政に臨む基本方針と主な施策について述べました。

 この方針の下、市民一人ひとりの想いを可能な限り市政に反映しながら、安全・安心を根本に据えて、豊かで幸せな市民生活を送ることができる、持続可能なまちづくりに邁進する覚悟ですので、皆様の御協力をお願い申し上げます。

各会計予算案

 引き続き、令和2年度の各施策を支える一般会計をはじめ、各会計の予算案について説明します。

 6会計全体の予算総額は、923億1,500万円、前年度に比べ0.8パーセントの減となっています。

 まず、「議案第1号・令和2年度秦野市一般会計予算を定めることについて」であります。

 歳入歳出予算の総額は、507億3,000万円で、前年度に比べ1億2,000万円、0.2パーセントの増となっています。

 歳入は、税制改正に伴う法人市民税の減収の影響などを受け、市税全体では昨年度より1億9,000万円減の229億1,000万円で2年ぶりの減収となります。一方で、普通交付税や消費税率の引き上げに伴い地方消費税交付金が増加します。

 歳出は、会計年度任用職員制度の導入などによる人件費や市債元金償還額の増による公債費の増加に加え、障害児・障害者へのサービス体制の充実による扶助費や介護保険事業及び後期高齢者医療事業に対する繰出金などの社会保障費が増加します。

 建設事業費は、東海大学前駅北口周辺の整備に着手するほか、西中学校多機能型体育館がオープンを迎えるなど、都市基盤整備を着実に進めます。なお、当初予算で計上する予定であった、小中学校の施設改修事業を令和元年度に前倒ししたことから、前年度に比べ11.9パーセントの減となります。

 財源補填として、財政調整基金の取崩額は、6億500万円、市債は、28.9パーセント減の32億1,700万円とし、そのうち臨時財政対策債は、前年度と同額の21億円としました。

 次に、「議案第2号・令和2年度秦野市水道事業会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、36億1,100万円で、前年度に比べ1億4,800万円、3.9パーセントの減となっています。企業債は、4億円を限度額として借入れを行います。

 施設整備計画及び財政計画の前期最終年度として、引き続き、施設の耐震化に取り組み、ライフラインを提供する公営企業として、安全な水の安定供給に努めます。

 なお、現在の水道料金については、平成28年度からの5年間の算定期間が終了するため、施設整備計画及び財政計画の見直しにあわせて、より適正な水道料金のあり方を検討していきます。

 次に、「議案第3号・令和2年度秦野市公共下水道事業会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、55億2,500万円で、前年度に比べ4億6,300万円、7.7パーセントの減となっています。企業債は、8億1,620万円を限度額として借入れを行います。

 建設投資計画及び財政計画の前期最終年度として、引き続き、施設の耐震化や浸水対策に取り組み、ライフラインを提供する公営企業として、安定的かつ持続可能な事業運営に努めます。

 なお、現在の公共下水道使用料については、平成29年度からの4年間の算定期間が終了するため、建設投資計画及び財政計画の見直しにあわせて、より適正な公共下水道使用料のあり方を検討していきます。

 次に、「議案第4号・令和2年度秦野市国民健康保険事業特別会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、173億2,400万円で、前年度に比べ7億5,800万円、4.2パーセントの減となっています。

 一人当たりの医療費の増加が見込まれる中、財政運営の責任主体である神奈川県と連携し、安定的で健全な国民健康保険事業の運営に取り組みます。

 次に、「議案第5号・令和2年度秦野市介護保険事業特別会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、126億6,000万円で、前年度に比べ2億7,800万円、2.2パーセントの増となっています。

 第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に掲げた、地域包括ケアシステムの推進と、介護予防や生活支援体制整備などの各種施策に取り組みます。また、保険者として、自立支援と重度化防止に向けた施策の推進と、適正な給付に努め、安定的な介護保険事業の運営に取り組みます。

 最後に、「議案第6号・令和2年度秦野市後期高齢者医療事業特別会計予算を定めることについて」であります。

 予算総額は、24億6,500万円で、前年度に比べ2億4,900万円、11.2パーセントの増となっています。

 県内全ての市町村が加入する広域連合と連携し、後期高齢者医療事業の健全な運営に取り組みます。

このページに関する問い合わせ先

所属課室:政策部 総合政策課 政策調整担当
電話番号:0463-82-5101
FAX番号:0463-84-5235

このページに関するアンケートにお答えください

このページは見つけやすかったですか?
このページの内容はわかりやすかったですか?
このページの内容は参考になりましたか?